早漏治療の一つとして陰茎の感覚を低下させる治療として陰茎背神経という神経を一部遮断する治療があります。
ここでは当院の経験を踏まえて陰茎背神経遮断術についてお伝えいたします。
「陰茎の感覚を減らすために神経を切ってくれませんか?」というご要望があったことがきっかけとなり数年前よりこの治療を行っております。
陰茎背神経は通常の包茎手術などでは出てくることはありませんが、陰茎の形成手術や屈曲ペニス修正術などでは目で確認しながらできるだけ温存するように気を遣う神経です。
海外の情報もできるだけ収集し、症例を重ねるごとに様々な経過がありましたがそれなりに満足度の高い治療であると思いますので詳細をご説明いたします。
ただしこの治療は当院からお勧めする治療ではありません。
あらゆるリスクを負ってでも受けたいという強い希望がある方のみが治療の対象となります。
陰茎のシャフトおよび亀頭部分の感覚を司っている陰茎背神経の一部を手術で遮断します。
症状を伺った上でどの程度遮断するかを術前にある程度決め、治療開始の時に簡単なテスト(後述)をおこないます。
手術のアプローチは陰茎背部の皮膚から直接神経に到達する方法と亀頭直下に切開線をおいてアプローチをする方法があります。
陰茎背部の皮膚から直接神経に到達する方が簡便に手術はできますが、その場合は陰茎背部に中途半端な傷ができてしまいます。
亀頭直下のアプローチはいわゆる包茎手術のときに亀頭直下切開法と同じアプローチになります。
手術は局所麻酔でも可能ですが緊張が無い状態で受けた方が精神的には楽なので静脈麻酔を併用される方もいます。(どちらかというと静脈麻酔併用の方がお勧めです。)
陰茎背神経がどのように走行しているかは大体決まっていますが、陰茎の根元から亀頭に向かって無数に枝別れしているため、どの段階でどのように遮断するかを術前にある程度めぼしをつける必要があります。
そのため治療の直前に神経の支配領域のめぼしをつける目的で簡単なテストをおこないます。
テストは体に負担なく行うことが可能です。
テストですべての神経支配を把握できるわけではありませんがそれらを参考にしながら治療をおこないます。
早漏防止の目的で行うその他の治療として代表的なものは亀頭増大(亀頭注入)や小帯切除があげられます。
これらはともに陰茎への刺激を減らすことが目的になります。
これらの治療は俗っぽい印象があり、本当に早漏予防になるのかなぁと思う部分もありますが、実際には効果を感じる方もいらっしゃいますので選択肢として悪くはないのだと思います。
それらを行ってもまだ感覚を下げることが出来ない場合には陰茎背神経の遮断を検討してもよいと思います。
ただし、小帯切除は見た目の変化を伴うものですので好き嫌いが出る部分ではあると思います。
陰茎に対する刺激の感覚を減らしたい全ての方へ治療の適応になります。ただし、神経の切離を行うという不可逆的(後戻りができない)治療であるためその理解を十分できる方でなければ治療はお受けになれません。
ちょっとしたノリで受けてみる治療ではなく本当に悩まれている方が選択肢として考慮すべき治療という位置づけになります。
陰茎背神経を遮断すると陰茎の感覚は鈍くなります。
しかしながら効果の限界もあり大きく二つ挙げれます。
一つは術前のテストを行ってもピンポイントで好きな場所の感覚を落とせるとは限らないということです。
ですので亀頭部分のみの感覚をおとしてその他の感覚は落とさないようにするなどを確実に行うことは難しいというのが現状です。
それでも多くの方は感覚が鈍くなることである早漏防止の一定の効果を感じます。
(亀頭部分の感覚を落とすことが早漏を防止するという考えは間違っているとは言えませんが、必ずしも亀頭部分だけの感覚で早漏がおこる訳ではありません。)
もう一つは後戻りがあリ得ることです。
手術後の効果判定には3ヶ月から6ヶ月はかかります。
末梢神経は一般的にある一定の回復があります。
したがって術後の効果は個人により非常に様々になります。
予想通りに感覚が鈍くなる方がいる一方で、もう少し鈍くなって欲しかった方や数か月で感覚がある程度戻ってしまうこともあります。
万が一、さらに感覚を落としたい場合には最低3ヶ月程度(できれば半年)はあけてから再度処置を検討することが可能です。
陰茎背神経遮断術は様々な陰茎治療との併用が可能です。
ただし、たとえば包茎手術を行うだけでも多少陰茎の感覚が低下する方もいるので、慎重に検討される方がよい治療と言えます。
早漏防止を積極的に考えた場合には亀頭の注入および小帯切除と併用して行うことも可能です。
陰茎背神経遮断術後は包茎手術と同程度の腫れ感などの経過があります。
術後2~3週間後に抜糸を行います。(吸収糸の場合は不要です。)
メスを入れる手術ですので全くの無痛ではありませんが、一般的な術後経過として痛みを気にされる方はほとんどいらっしゃいません。
想定の範囲内であるようです。
ただし、神経そのものを扱う治療であり、CRPS(複合性局所疼痛症候群)などの可能性もゼロではありません。
CRPS:手術の程度では説明がつかないような痛みの大きさや持続がでること
手術の方法の項目で二つのアプローチの方法がるとお伝えしました。
陰茎の背面からアプローチする方法と亀頭直下からアプローチをする方法です。
陰茎背面からアプローチをするとそこに部分的な直線の傷ができます。
また、神経を何カ所か遮断する場合にはその都度傷ができることになります。
陰茎根部で行った場合には陰毛に隠れますが今までその部位で適応になった方はいらっしゃいませんでした。
亀頭直下の場合には亀頭直下に切開線が1周できます。
傷跡としてはかなり目立ちにくい場所ですが全くなくなるとは限りません。
医学的には考えにくいですが治療を受けたことによる精神的な気負いから勃起がしづらいなどの経過がもしかしたらあり得るかもしれません。(今まで見たことはありませんが。)
33万円(税込み)
費用は一律であり処置の複雑さなどでご料金が上下することはありません。
(追加の再処置を希望の場合は1年以内1回だけ11万円(税込み)で行います。)