絞扼輪とは、四肢などの末梢に先天的に生じる紐で縛ったような「くびれ」のことです。
陰茎に起こる場合、程度が強いと「真性包茎」や「嵌頓(カントン)包茎」となりますが、軽度の場合はご本人も気が付かないことがほとんどです。
陰茎の太さよりも絞扼輪の直径が大きければ通常問題ありません。
通常時より陰茎の太さよりも絞扼輪の直径が小さい場合は真性包茎
通常時は陰茎の太さよりも絞扼輪の直径が大きいが、勃起時に逆転する場合は嵌頓(カントン)包茎
となります。
この図は包皮をかぶった状態の陰茎です。包皮は「a,b」の亀頭の境目あたりの陰茎から始まり、一度「A,B」点まで亀頭を覆ってから再び根元の方へと続いています。
この「A,B」の直径が亀頭をより大きいかどうかというのがポイントとなります。
ある程度狭くても、皮膚は伸びるので抵抗感なく剥けるので普段はまず気づくことはないでしょう。
しかし、この狭い部分は、手術などを行った場合、非常に厄介なものになることがあります。
どんなことが起こるかを説明するために、包皮が剥けるということやその時の絞扼輪の位置や性質などを詳しく説明していきたいと思います。
では、実際に包皮が剥けたときの状態をみていきましょう。
包皮を剥くということは、図の左側の状態を右側の状態にすること。つまり、被った状態では先端にある
A-Bを根元のa-bを通り越して、根本側までもっていくことになります。
締め付けるほどの狭さがない絞扼輪では全く問題なく剥けて、その存在はご本人も一生知ることがないかもしれません。陰茎が勃起時以上に大きくなることはないからです。
しかし、この見えない絞扼輪は屈曲修正手術をする方にとっては非常に厄介な存在となります。
普通に剥ける方であれば、何の問題もありません。しかし、陰茎に治療をすると見えない絞扼輪がはっきり見えてきます。
屈曲修正に手術を行うと、包皮は一度完全に根元まで剥離されるため、陰茎と包皮は血流も途絶えます。
血流は根元から包皮内のみを進み、包皮内を戻ります。この状態は治療前に比べて治療直後からしばらくの間続きます。
腫れもむくみも生じていない陰茎なら特にないも問題は起こらないのですが、腫れにより包皮が陰茎外側に膨らみ始めます。
しかし、A-B間の絞扼輪の直径は大きくなれないのでそこにくびれが生じます。
絞扼輪でくびれができると血流が障害されます。
包皮根元血流①は絞扼輪の影響を受けずに循環します。
しかし、絞扼輪を超えての包皮の血流②は絞扼輪を再び超えて根元に戻る血流が著しく障害されるため図の赤線の部分の包皮が激しく腫れて、絞扼輪のところにさらにくびれが生じることになります。
腫れれば腫れるほど戻りの血流の障害が激しくなるためその傾向はどんどん激しくなります。
また絞扼輪の下側になる包皮と陰茎の間も傷ついた状態になっているので、「傷」として治癒していきます。
厄介なことに、人の体は輪っか状の傷は治癒する過程でその輪を収縮させようとする働きがあります。
そういった様々なことが負の連鎖として進み、絞扼輪から亀頭側の包皮は腫れを増してしまいます。
また、一般的な経過では問題ないと思われた絞扼輪も、想定外の腫れ、例えばまだ包帯を巻いていなくてはいけない時期なのに包帯を外してしまったり、非常に勃起しやすいために血流が増してしまったりすることがあります。