若いころからご自身の亀頭が露出しづらい、あるいは露出すると締め付け感があるなどの症状で悩んでいたとしたら嵌頓包茎(かんとんほうけい)の可能性があります。
また、ご自身が嵌頓包茎であると自覚していて今現在悩んでいる方もいると思います。
長い人生を考えた場合、ほとんどの方は嵌頓包茎であれば治療を早かれ遅かれ治療をすることになります。
その理由は日常生活で支障をきたしてしまうからです。
しかしながらいざ治すとなると様々な不安も出てくると思います。
ここでは嵌頓包茎(かんとん包茎)の特徴や注意点、治療方法や費用の相場について役に立つ情報をお伝えしていきます。
嵌頓包茎は亀頭を露出することは可能だが、包皮の先が狭く亀頭がスムーズに露出できない状態を言います。
この狭い部分を絞扼輪(こうやくりん)と呼ぶことがあります。
嵌頓包茎の場合、亀頭を露出して締め付け感があるままずっと放置をしておくと絞扼輪から亀頭までの循環不全が起こり、強い腫れからやがて包皮の壊死ということもあり得ます。
ここでは嵌頓包茎の特徴についてお伝えします。
小児期には多くの人の包皮口は狭い状態です。
小児期を過ぎると通常は包皮口の狭さは無くなります。
しかしながらある程度の狭さが残ってしまうことがあります。
狭いながらも亀頭が露出できる場合は嵌頓包茎となり、亀頭が全く露出できな場合は真性包茎という状態となります。
包皮口が狭いながら亀頭を露出するとその締め付けは絞扼輪(こうやくりん)として存在し、陰茎体部を締め付けることになります。
この絞扼輪の締め付けが強いと嵌頓包茎となりますが、生活に支障が全くない仮性包茎の状態でもゆるく絞扼輪が存在する方はたくさんいらっしゃいます。
つまり絞扼輪があっても締め付け感がなく、生活に全く支障がなければ仮性包茎といって差し支えありません。
亀頭を露出しようとすると包皮口の狭さがあり、抵抗がある。
狭い絞扼輪を無理やり剥いて亀頭を露出した状態。
陰茎体部に絞扼輪が存在。
嵌頓包茎の場合、亀頭を露出することに痛みを伴うことがあり、その場合は麻酔をしてから行っております。
嵌頓包茎の亀頭を露出した状態の裏面。
このままの状態で放置すると小帯付近が腫れてきます。
さらに放置すると包皮が戻らなくなります。
真性包茎や嵌頓包茎の方に多いですが、包皮の制限があるためか陰茎の発育が悪いことがよくあります。
大きさも長さも小さめとなります。
特に陰茎の裏側の長さが短いということが多くあります。
嵌頓包茎の方は陰茎の露出に消極であるため、できるだけ陰茎を露出しないように生活をしていることが多いです。
そのため陰茎に対する刺激に非常に敏感であり、触るだけでも痛いということがあります。
その痛みのために性行為も出来ない状態の方も珍しくありません。
クリニックにご相談に来られる方の中で診察をする時にも痛くて亀頭を露出できないこともあります。その場合には無理に剥くことはありません。
手術のときには麻酔がかかった状態で亀頭を露出することが多いです。
亀頭の露出に痛みを伴うため、衛生面での清潔を保つことが難しいということがよくあります。
シャワーを浴びるときにぎりぎり洗っているという感じですが仮性包茎の人と比べるとその洗浄は不十分であることが多いです。
その不衛生な状態から包皮炎をおこすこともあります。
また、不衛生な状態が続くためパートナーからも敬遠されることが多く、夫婦でクリニックにご相談に来られる方や、パートナーに勧められてご相談に来られることも珍しくありません。
デリケートな話ではありますが、パートナーから言ってもらえるだけましです。
パートナーから言われていないとしても想像以上に不快な思いを我慢されている可能性があるという自覚が必要です。
亀頭の露出をほとんどしたことがないまま生活している場合に亀頭の一部と包皮内板の一部が癒着していることがあります。
この場合は包茎手術のときに同時に癒着を剥がせば解除されます。
嵌頓包茎は文字通り「嵌頓している陰茎」の状態です。
亀頭を露出して嵌頓したまま放置すると絞扼輪の先の包皮が浮腫んで腫れてきます。
さらにその状態を放置するとうっ血や浮腫が起こってきます。
この段階で包皮が戻りにくくなってきます。
さらにそれを放置するとその浮腫みがパンパンになって痛みが強く出てくることがあります。
この段階になると自分で戻すことができなくなり、泌尿器科を受診する必要があります。
嵌頓した陰茎は外科的な処置以外では戻すことは極めて難しく、緊急的な処置を行うことになります。
嵌頓包茎の治療方法は主に外科手術になります。
しかしながらまれに軟膏治療でも治ることがありますので試してみてもよいと思います。
手術による方法は主に包皮の切除または背面切開法という絞扼解除の方法があります。
嵌頓包茎の手術の第一の目的は絞扼輪による嵌頓状態の解除であり、包皮の余りはその次の目的となります。
嵌頓包茎に対する包皮切除の方法は2種類あり、一つは亀頭直下切除法、もう一つは環状切開法になります。
仮性包茎の場合にはもう一つ陰茎根部切除法(バックカット)も選択肢に入りますが、嵌頓包茎の場合は絞扼輪を解除しないといけないので陰茎根部切除法は禁忌となります。
包茎手術の方法の一つとして亀頭のすぐ下から絞扼輪が解除できるように包皮を取り除くことをします。
傷跡が亀頭のすぐ下にくるため整容的に自然な陰茎を作ることができます。
しかしながら、嵌頓包茎の場合は個人個人によって絞扼輪の位置が違うため場合によっては亀頭直下切除法が適応にならないことがあります。
男性器形成専門のクリニックでは通常この方法を第一に考えることになりますが、デザインの仕方にはそれなりに技量が必要になります。
絞扼輪部分を含めた包皮の切除を輪状に行います。
泌尿器科の領域では最もシンプルで教科書的な方法です。
確実に絞扼輪の最も狭い部分を含めて包皮を取り除くことが可能ですが、ほとんどの場合、術後に傷跡から亀頭までの皮膚が長い間むくんだ状態となります。
また、傷跡が陰茎のど真ん中付近にくるためツートンカラーの状態になってしまうことも少なくありません。
嵌頓包茎の状態によって亀頭直下切除法が難しい場合にはこちらを選択せざるを得ないこともあります。
保険診療がメインの医療機関ではスタンダードな方法になります。
包皮の切除をほとんど行わずに狭い部分のみを解除する方法として背面切開法があります。
背面切開法は絞扼輪の狭いところを縦に割を入れ、横方向に縫いよせることによって絞扼を解除する方法です。
割を一本のみで行うこともあれば複数行うこともあります。
縫い寄せた傷跡の端っこに皮膚の盛り上がりができてしまうことから整容的にはできれば避けたい手術となります。
どうしても切除する包皮が足りない場合などでは選択することがまれにあります。
小児の真性包茎や嵌頓包茎の循環不全に対する緊急処置として行うこともあります。
手術以外の方法としてステロイド軟膏を包皮口に塗ってゆっくり広げていく方法があります。
この方法によって真性包茎や嵌頓包茎が改善することもあります。
(当院では手術しか行っていないためか、軟膏治療を行っても改善しなかったという方々がご相談に来られることが多いです。)
嵌頓包茎で悩まれている方はいつ治療を受けようかと悩まれることも多いと思います。
両親や兄弟から勧められたり、パートナーから勧められて来院される方も少なくありません。
締め付けが強いなどで生活に支障があればいつかは治療をされた方がよいと思います。
小児期の包茎手術のタイミングについては様々な意見がありますが、成人の嵌頓包茎についてはいつ受けても同じです。
ですので困っていれば勇気を出して相談だけでもされるとよいでしょう。
以前からあった嵌頓(カントン)包茎をいつか治療しないといけないと思いずっと悩まれていたそうです。
状態としては明らかな嵌頓包茎の状態でした。
亀頭を露出すること自体が痛みで出来ない状態でしたので麻酔が効いた状態で再評価をして亀頭直下での切除デザインをおこないました。
術後はしっかりと亀頭が出た状態となりました。
(写真では陰茎の長さが長くなっているように見えますが、これは治療とは関係ありません。)
以前から勃起時の締め付け感があり、ご兄弟様も手術を受けており、いつか治療しようと思っていたとのことでした。
今回はパートナーの方に勧められて来院されました。
絞扼部分は強くはありませんでしたが軽度の嵌頓包茎の状態と言えると思います。
絞扼輪の位置を確認し、亀頭直下切除法による手術が可能と判断しました。
術後はまだむくんでいましたがおおむね良好な経過をたどられていました。
手術後は1週間前後は腫れます。特に3~4日は腫れている状態となります。
陰茎の痛みはそれほど強くはありませんが、今まで露出していなかった亀頭が露出することによる刺激が強いため、ヒリヒリ、チクチク感がでます。
この感覚になれるには2~3ヶ月を要することもあります。
手術して2~3日くらいまでは血腫(血液のたまり)が出来ないかを慎重に見る必要があります。
通常1~3週間後に抜糸をすることが多いです。
傷の硬さなどは半年程度続くことがあります。
ここでは嵌頓包茎の手術後に起こり得る気になる経過などについてお伝えいたします。
包茎手術の一般的な気になる経過などについては「包茎手術」のページを参照されて下さい。
ここでは嵌頓包茎にフォーカスをあててお伝えいたします。
亀頭直下切除法は見た目の治療としてはとてもよい治療ですが、絞扼輪を解除することを前提に行わなければならないため包皮のゆとりがない方は術後にツッパリ感がでることがあります。ほとんどの方は慣れてきますが、慣れるのに数か月から1年という単位でかかることもあり得ます。
亀頭直下切除法や環状切開法を行った場合に通常通りに一周皮膚を取ると最も狭い部分は解除されますが、やや狭い部分が残ることがあります。この場合に人によっては勃起したときなどに締め付け感が残ることがあります。通常は徐々に慣れてきますが、人によってはさらに狭い部分を解除したいと思う可能性がゼロではありません。
嵌頓包茎の方は亀頭の露出になれていない方が多く、日常的に亀頭が露出するようになると手術後何か月かはヒリヒリ感やチクチク感が出ます。亀頭の角質が何度も剥がれ落ちながらやがてしっかりした亀頭になっていきます。
男性器形成クリニック(自由診療) | ||
嵌頓包茎(亀頭直下切除法) | 35~50万円程度 (様々な料金加算を含む) | |
嵌頓包茎(環状切開法) | 35~50万円程度 (様々な料金加算を含む) | |
嵌頓包茎(背面切開法) | ほとんど行われません |
ここでは嵌頓包茎のよくあるご質問をご紹介します。
ステロイド軟膏を塗布することで包皮口が柔らかくなり、狭さが改善されることがあります。
真性包茎の場合などは亀頭の露出が全くできなかったものができるようになったりといった変化が期待できることもあります。
しかしながら完全に仮性包茎の状態にまで持っていくことができないことも多々あるようです。
一般泌尿器科で保険診療の範囲内で指導をしてもらえることもあります。