包茎手術後の傷跡のご紹介です。
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包茎手術は余分な陰茎包皮を切除するというシンプルな手術ですが細かくみると実は様々なことを考慮しながら手術を行う必要があります。
包茎手術に傾倒していなければ大したことのない「ただの皮取り手術」のように見えると思いますが日々手術を行い、結果を追求している医師からしてみればとても奥の深い手術だと言えます。
この奥深さが伝わらなければ治療を受ける方もそんなに難しいの?と思うかもしれません。
単純に余分な皮を取り除いて縫い合わせるだけなら全くもって簡単な手術ですが、術後経過を踏まえていかに自然な陰茎に仕上げるかを考え、一人一人の状態に合わせてデザインを行うことは実はかなりの経験が必要な手術です。(それでも結果に限界や個人差がでることも事実です。)
そのような背景がありつつも治療を検討する上では煙に巻かれたような話に惑わされないことも大切です。
また世の中には様々な情報が氾濫しています。残念ながら偏った営利目的(誘導目的)の情報も多く存在します。
ここでは一形成外科医が心の底から思うことを本音でお伝えしていきます。
様々な方法や考え方などを述べておりますが、どれが良い悪いという話に焦点をあてるのではなく、フラットな理解とご自身の考えにあったものを選ぶという冷静な姿勢が大切です。
何か迷ったらこのページに立ち返ってゆっくり検討してみるのもよいかもしれません。
ここに書いてあることが「絶対正しいこと」とか「全て」という訳ではありませんがお役に立てる部分があるかも知れません。
包茎手術を行う上でいくつかのポイントがありますのでそのことについてお伝えしたいと思います。
ここでは話を理解しやすくするために仮性包茎についてお伝えします。
真性包茎と嵌頓(かんとん)包茎についてはあとで触れたいと思います。(予定)
包茎手術で最も大きく違いが出る部分が包皮をどの部分で取り除くかということがあります。
亀頭を露出した状態で考えると、余った分の皮膚をどこで取り除いても包皮を取り除くことが可能です。
だいたい大きく分けると三通りの取り方があります。
亀頭の裏から陰茎体部につながっている真ん中の細いツッパリを包皮小帯と言います。
包茎手術のときにはこの包皮小帯をどのようにするかという選択があります。
環状切除法の場合はそもそも包皮小帯に触れずに陰茎体部の皮膚を輪っかに取り除くのみなので処理することはありません。
主には亀頭直下で包皮を切除する場合に処理の仕方がいくつかの方法があります。
陰茎手術に関連して小帯に関して補足を述べたいと思います。
包茎手術や屈曲陰茎修正術後に小帯付近が腫れやすいという特徴があります。
手術手技で出来るだけそのようにならないように回避するデザインを通常行いますが、状態によっては結果的に出てしまうことがあるのも事実です。
勃起をしたときなどに最も突っ張る場所は包皮小帯の部分になります。
縫合は非常に細い糸で行っているため強いツッパリがあると縫合部分が離開していまうことがあります。
もしそうなったときにそのまま皮膚が覆うとの待つと意外に綺麗になるものです。
包皮小帯部分の感覚が性感帯として扱われることがあります。
医学的根拠はありませんが、確かに包皮小帯部分を切除すると感度が下がることで早漏予防になったと言われることがあります。
また、包茎手術後に陰茎の感覚の低下が出現することがありますが、それは小帯部分よりも亀頭直下背側の要素が強いのではないかと当院では考えております。
包茎手術の縫合について縫合糸が話題になることがあります。
縫合糸には大きく2種類あり、一つはナイロン糸、もう一つは吸収糸になります。
ナイロン糸=抜糸式
吸収糸=抜糸不要
という表現をされることもあります。
これらの違いを医院側の視点と治療を受ける側の視点から分けて考えることができます。
医院側の視点ではナイロン糸では単純に抜糸という作業が必要になります。
治療を受ける方の視点としてはナイロン糸では抜糸のために受診が必要になります。
治療の結果の差はどうかというと個人的には当院の縫合技術ではナイロン糸の方が綺麗な傷に仕上げやすいですが、外科医の手技はそれぞれ違いますので一概にどれがよいなどとは言えない部分もあります。
糸の問題よりも糸の結紮方法の方が傷痕には大きく影響すると考えております。
ナイロン糸と吸収糸の原価は一般的なものの比較では吸収糸の方が高価になります。
ナイロン糸でも心臓手術に使うものや上瞼の手術で瞼板に処置を加える縫合糸の場合は高価になりますが、陰茎の手術ではそれらを使う意義はありません。
陰茎包皮に炎症が起きている方がときどきいらっしゃいます。
包皮が常にかぶっている状態で清潔に保てない方に多くいらっしゃいます。
特に真性包茎の方に多いですが、仮性包茎の方でもいらっしゃいます。
ほとんどの場合は包茎手術を行うことによって亀頭が露出する状態になると改善されます。
ただし、糖尿病がある方や肥満によって包茎手術を行っても縫合不全のリスクがありそうな方は慎重に検討する必要があります。
包茎がある方の一部に亀頭と包皮の一部が癒着(ゆちゃく)していることがあります。
癒着とは単純に言うとくっついている状態です。
仮性包茎の場合はその頻度は少ないですが、亀頭冠(カリの部分)付近に部分的に存在することがあります。
真性包茎の場合は全くないこともありますが、何割かの方には存在します。とても強い場合には包皮全体が亀頭とほぼ癒着している方もいます。
癒着は麻酔が効いている状態でゆっくり剥がすか、高周波で処置をすると解除されます。
解除されたところは表皮が無い状態になりますので皮膚が覆う(上皮化する)のを時間経過で待つ必要があります。
通常は2週間から1ヶ月の間で皮膚が覆うことがほとんどです。
その間は癒着していた部分がヒリヒリする感覚が出る方もいます。
通常は癒着解除を目的に受診をされることはほとんどなく、包茎を改善する上で必要になる処置と言えます。
本来、専門的な知識をもたない一般の方が包茎手術の手術方法を選ぶということ自体ある意味リスクを伴うと思います。
どんなに説明を受けてもその理解は毎日手術を行っている医師には到底及ばないからです。
また、医師によってはポリシーとして環状切除法しか行わないなどの意見もあると思います。
陰茎の状態は本当に個々で様々ですのである程度理解したらあとはご自身にとって信頼できそうな医師にお任せされるとよいと思います。
そのある程度の理解のために参考までに以下を継ぎ足しておきます。
インターネットなどで検索すると包茎手術の方法として
などの治療名があげられているようです。
非常にたくさんの方法があるように見えますが、本質は包茎の基本手術とその発展形ということになると思います。
ということなどを表現するために様々な名前が付けられているようです。
医療には必ずリスクも伴いますのでそれらの長所短所を含めてご自身の考えにあったものをご相談されるとよいと思います。
参考までに当院での手術の方法について触れておきたいと思います。
様々な方法を経験した中から現在の手術方法に至っておりますが、まだまだ改善する余地があるはずだと思いながら治療を行っております。
当院では亀頭直下切除法による方法を主に行っております。見た目を重視したご希望が多いことから必然的に亀頭直下切除法を行うことが多いですが、真性包茎や嵌頓包茎の方や絞扼輪の位置などから行えないこともまれにあります。
また、熱損傷を皮膚に与えたくないという観点から皮膚はメスによって切開しておりますが実際には高周波電気メスを使っても術後結果はほとんど遜色はありません。
亀頭直下切除法を行う際に環状切除法と大きく違うのは陰茎体部の皮膚・皮下構造と亀頭直下の皮膚・皮下構造の違いを意識して切開することです。
そのことを意識しないと陰茎や亀頭の感覚に差が出てしまうと考えております。
(意識しても感覚低下はあり得ます。)
と聞かれることがあるのでここでお伝えします。
当院の場合は切開せずに余剰皮膚を取り除く技術を持ち合わせておりませんので切開によってのみ包茎を改善することができます。
世界中を探せばもしかしたら切開をせずに余剰皮膚を取り除ける医師がいらっしゃるのかもしれません。
包皮の切除量はあてずっぽで決めるのではなくある程度セオリーがあります。
その一つとして勃起時に極端に突っ張らないように計測する必要があります。
平常時に常に亀頭を露出していたい方もいると思いますが、勃起時に極端に突っ張らない範囲が常識的な皮膚切除量の限界ということになります。
また、術後間もないころは多少ツッパリ感がでることがありますがしょうがない部分となります。一般的には徐々に違和感やツッパリ感は改善していきますが一年以上ある方もいると思います。
亀頭直下切除法を行うときの小帯は形成するように手術を行うことが多いです。
単純にその方が見栄えが自然だと考えているからです。
特に治療をお受けになられる方がこだわりやお考えがない場合には小帯を切除することもあります。それでもスッキリ見えますので悪くないと思います。
「小帯を形成しないのは自分の中で許せない」とは思いません。
ただし、せっかく形成した小帯も抜糸の時に一部創離開してしまっていることがまれにあります。
少々残念ですがそれはそれで意外に綺麗に治るので小さなこだわりレベルの話と言えます。
縫合は特に美容的な側面を意識して行います。
当院の縫合方法の場合はナイロン糸を使用した縫合の方が傷痕が綺麗ですので通常はナイロン糸を使用して後日抜糸を行っています。
(どうしても抜糸が無理な方はナイロン糸でも自己抜糸をできる縫合方法を行いますが、仕上がりは抜糸させていただく縫合方法の方がやはり綺麗です。)
どのような結紮(けっさつ)をすると傷が綺麗かなどを意識して行っておりますがそれが特別なことでもなんでもなく外科医としての当たり前の姿勢で行っている範囲内のことになります。
これは医師によって結紮の方法や縫合方法が違うためどれが良い悪いの話ではありません。
と聞かれたことがあるのでここでお答えします。
特殊な血管吻合やリンパ管吻合が必要な症例があれば(ないと思いますが)顕微鏡を使ったマイクロサージャリーを行うと思いますが、今まで包茎の手術で必要であった方はいらっしゃいませんでした。
後ほど包茎手術の合併症などについてはお伝えする予定ですが以下の方は特に注意が必要です
手術を受けるにあたって大きな心配事の一つが傷跡です。
「包茎手術などを受けるとツートンカラーになってしまい、誰がみてもすぐにわかると聞いた(ネットに書いてあった)」
というお問い合わせが毎日多くあります。
下の画像は当院手術方法での手術後6ヶ月後の一例です。
症例によってはもう少し綺麗な方ももう少し傷跡が目立つ方もいると思いますが一例として画像を参考にされてください。
包茎手術を行うときに同時に他の手術も併用することがあります。
たとえば、屈曲ペニス修正術、シリコンボール挿入術、亀頭増大術、長径術などです。
組み合わせのほとんどは同時に治療をおこなうことが可能です。
ただし、脂肪注入やヒアルロン酸注入による陰茎増大術を行う場合はできれば別々の方が経過の上では安心です。
また、シリコンボール挿入術は後々検討している場合には同時に入れた方が傷痕が少なくてすみます。
屈曲ペニス修正術を行う場合には包皮の余りが強いと術後の腫れが強く、血流が悪くなることがあるので同時に包茎手術を考えた方が経過が良いことがおおいです。
ここでは包茎手術後の留意点やあり得る合併症などについてお伝えします。
包茎手術を行うと必ず腫れがでます。最低でも3日は腫れます。おおよそ1週間くらいの腫れのあとむくみが続くかには個人差があります。抜糸の時の2~3週間後の時点でほぼむくみがない方もいれば一回り、二回りのむくみが残っている方もいます。
また、特に小帯部分の腫れが残りやすく数か月続くこともまれにあります。
どうしても収まりそうにない場合には追加の修正術を行うこともあります。
手術後間もないころ、特に術後2日くらいまでは出血を起こしやすい状態です。外に出血すること自体はさほど問題にななりませんが、皮膚の下で出血が起こった場合には血液の溜まりとなってしまうことがあります。少量の場合は様子をみることで吸収されていきますが、卵のように黒く大きくなった場合には血腫除去の処置を行う必要があります。そのまま放置をすると皮膚の血流障害から皮膚の壊死になってしまうリスクもあります。万が一なってしまった場合には早めに処置を行えば経過は良好となります。
包茎手術は切開を伴う手術であるため細菌感染症にかかってしまう可能性がゼロではありません。その場合には抗生剤の投与などの継続、創の解放などが必要になると思います。
包茎手術後にまれに縫合不全がおこることがあります。ごく小さいものはときどき見るレベルです。抜糸前に強い勃起などがあると特に小帯部分などが創離開してしまうこともあります。すぐであれば縫い直しも可能ですが、そのまま経過をみても意外に綺麗になります。
また肥満の方や糖尿病があるかたは縫合不全になるリスクが高いですので注意が必要です。
包皮を切除する範囲は勃起時の状態を考慮して決める必要があります。そのため平常時には亀頭が完全に露出していないこともあり得ます。術後にどうしてももっと露出したい場合には追加で包皮を取ることは可能です。
包茎手術では亀頭も腫れます。その腫れが尿道孔にも及びますので腫れると立位での放尿時に尿が真っ直ぐに出ずに飛び散ることがあります。全体的な腫れが引いた後も尿道孔の腫れが遷延することがありますのでもとの尿線に戻るまでは便座を利用した座位による排尿が無難です。
手術前の包皮の余りがある状態では海綿体白膜と包皮のずれ感がありますが、包茎手術後はある程度包皮のあそびがなくなりますのでずれ感のスムーズさがなくなります。
傷跡については先ほども触れましたがゼロになることはありません。10年以上経過するとほとんど見えない方もいます。直線状の傷であったり、縫合部が白抜けしたり、枕木状に縫合線が残っていたりすることがあり得ます。
包茎手術後に特に抜糸をせずに吸収糸の脱落を待つ方法で手術をしたあとに、その縫い目の部分に粉瘤という腫瘤ができることがあります。気になる場合には切除することが可能です。
麻酔は下記のような方法から選ぶことができます。
包茎手術の場合、基本麻酔で手術は可能です。
緊張を取って手術を受けたい方、できるだけ痛みを感じたくない方は点滴無痛麻酔を検討されるとよいと思います。
治療後 | 陰茎に包帯を巻きます |
通院 | 3週間後に抜糸です |
抜糸 | 3週間後です |
性行為 | 1ヶ月より可能です(個人差あり) |
シャワー | 翌日より可能です(患部を濡らさない) |
4日目より可能です(患部を濡らしても大丈夫) | |
入浴 | 1週間後より可能です |
激しい運動 | 2週間後より可能です |
アルコール | 1週間後より可能です |